タッピンねじのねじ形状|ねじの基礎知識講座|ねじJAPAN

Vol.12 タッピンねじのねじ形状

タッピンねじのねじ形状には大きく分けて別図の様な種類があります。

1種

(1種の形状)

1種はピッチが荒く、先端が尖っているのが特徴です。相手材の板厚が1mm前後の物に締めつけます。相手材の下穴を多少小さくしておいて高いトルクで締めつけます。先端が尖っているので、相手の穴さぐりに便利です。

2種

(2種の形状)

2種は1種よりピッチが細かく、ねじ込みの作業性に優れていて、各種の材料の締めつけに多く使われています。1種よりピッチが細かいので、薄い鋼板にも使用できます。現在もアルミサッシには、このピッチが多く使用されています。

3種

(3種の形状)

3種は、ピッチが1種、2種より細かく、メートル並目 ねじと同じピッチに仕上げられています。
ピッチが細かいので大きいトルクで締めつける必要がありますが、振動する箇所などには緩み難くので最適です。

4種

(4種の形状)

4種は、2種のピッチで、1種の先端形状をしています。
ねじ込み性が良く、相手の穴探りにも便利です。1種と2種の特徴を兼ね備えたねじです。タッピンねじの中で 最も新しく追加された形状です。また塑性変形し難い鋳造品やダイキャスト品には、ねじの先端に溝(スリット)を加工し、切り刃の様な役目をさせてねじ込みます。この溝はねじを転造後、1本ずつカッターで加工します。左図は2種の溝付きですが、1種、3種、4種にも溝付きがあります。

転造の様子

(図 転造の様子)

1種及び4種のタッピンねじの作り方は図の様にストレートのヘッダーブランクを転造ダイプレートに供給します。
ダイプレートに切り刃がついていてねじ転造の最後に余分な部分を切り落とします。
タッピンねじの材料は、鉄線が多く使用されていますが(浸炭焼き入れが必要)ステンレスも使われる箇所が多くあります。
2001年版のJISを見ますと、タッピンねじに使用するステンレス材料は、JIS G4315に規定されているオーステナイト系ステンレス鋼で 冷間加工のままとしてあります。
オーステナイト系とは、ニッケル系のステンレス鋼で代表的な物には「18-8ステンレス」があります。 (これも団塊世代の方にとっては懐かしい響きです。ステンレスの流し台が出始めた頃は、絶対に錆びないとコマーシャルで毎日流れていました。)
現在では、マルテンサイト系(代表的な物はSUS410)やフェライト系 (代表的な物はSUS430)のねじに焼き入れ(光輝焼き入れ)したタッピンねじが多く使われています。