「ねじ」と私たちは、切っても切れない関係にあります。
私たちが「ねじ」を作っている、販売している業界にいるからではありません。
「ねじ」は、皆様のご家庭にあるテレビ、冷蔵庫、洗濯機などの家庭電化製品に関わらず、自動車、パソコン、ゲーム機と多岐に渡って使用されています。
それこそ、玩具から宇宙産業まで広い範囲に使われて、「ねじ」のない生活は考えられない状態です。
日本では、大量消費の時代には「ねじ」は「産業の塩」とか「近代産業を支える小さな巨人」と言われ、今でもあらゆる組み立てには、欠かせない部品として大活躍しています。
「ねじ」は、最も古い技術であるにも関わらず、常に新しい機械要素の一つです。
世の中に「ねじ」の種類は300万種類又はそれ以上と言われており、用途も幅広く、多様化されていますし、多様化されてしまいました。商品設計の段階では(私のヒガミかもしれませんが)「ねじ」の設計は一番最後です 。
こんな隙間しかないから、ここに使える「ねじ」を作れ、使われる商品の意匠に合わせた頭形状を作れなど、言いたい放題です。
一方では、VA提案の究極である「ねじなし」運動が展開されております。
「ねじ」の基本的な役割の一つに、締結(くっつける)があります。
締結の三要素と言われる(かしめ)(接着)、(ねじ締め)の中でも「ねじ」は今後も機械要素の「要」として産業界を支えていくと思われます。
なぜなら、締結完了までの時間は、接着剤なら乾くまで待たねばなりません。
(かしめ)や(接着)は締結をすると容易には外れなくなります。
組み立てられた商品を、一番簡単に分解できるのは「ねじ」です。単に緩めれば良いだけですからね...。
また強度計算や締結の度合いをコントロールすることができるのも「ねじ」の機能ならではのことです。
締結にも、分解にも便利な「ねじ」は、これからも ますます活躍するでしょう。
実は身の回り1m以内には「ねじ」があると言われるくらい、我々の生活には不可欠な物なのです。
メガネ・時計の身につけるものや、テレビ・車や建造物や橋梁に至るまで「ねじ」がなければ、何も出来ない事を皆さんで再認識いたしましょう。
我々が簡単に表現しております「ねじ」とは、正確には「ねじ部品」の事です。
話は少し堅くなりますが、「ねじ」とは、ネジ山の形状、ピッチなどを言います。
「ねじ部品」とは、いろいろな物を接合するために用いられるねじ山を持った品物の総称を言います。
業界では「ねじ部品」という表現は殆どされません。
捻子、螺子、ビス、スクリュー、いろんな呼び名がありますが、この記事では今後は「ねじ」の名称を使っていきます。
次回からは、ねじの作り方のお話に入りますが、いきなり現在のような製造方法から出発したわけではありません。
歴史をたどりながら、お話を進めて行きます。
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