ステンレスボルトと鋼材の異種金属の腐食について

ステンレスのボルトナットにより、屋外に鋼材をドブメッキ加工した架台等を固定している場合があると思いますが、このときの異種金属による腐食がエンドユーザーより先日問題視されました。この組み合わせによる使用方法は多々あり、問題だとすると 今後対策を考えなければないません。耐腐食に対する見解がありましたら教えて頂けないでしょうか?

ねじユーザー企業(一般)

[回答]どちらの金属が腐食するか?

二つの金属を組み合わせた時、どちらの金属が腐食するかというと、腐食電位が低い方の金属(アノード)の腐食が促進され、逆に電位が高い方にある金属(カソード)が防食されます。また、二つの金属の腐食電位差が大きい程、また、アノードの表面積がカソードに比べ小さくなる程、腐食速度は大きくなる傾向があります。この異種金属接触腐食を防食に利用したのが屋根に使われているトタンですが、トタンは、亜鉛メッキした鉄板であり、ご質問のドブメッキ同様、亜鉛が先に腐食して内部の鉄の腐食を防ぐ(犠牲防食)の役割を果たしています。ちなみに、代表的金属の腐食電位は、低い順に
 亜鉛<アルミニウム<炭素鋼<銅<ニッケル<銀<チタン<SUS304(不動態)<SUS316(不動態)
となっています。
確かに、ドブメッキである亜鉛とSUS304系のステンレス鋼とは電位差がありますが、メッキ膜に地金である鋼材まで到達するような傷がない場合、鋼材はメッキ膜によって外部と遮断されるので腐食は進行しません。しかし、メッキ膜が傷ついて鋼材が露出すると、ステンレス鋼との接触による電流が集中し、局部腐食が生じる場合がありますので、この場合には、鋼材とステンレス鋼を樹脂などの非金属材料で完全に絶縁処理を施す等の対策が必要となりますが、意図的に電流を流す使用環境下は別として、一般的な使用状況においては、架台(アノード)と締結部品であるステンレス鋼製ボルト・ナット(カソード)との表面積比から考えて、特に問題はないものと思われます。

選択無し 2004-11-10 00:00:00

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