No.272 [ねじの学び舎]遅れ破壊|ねじJAPANニュース(メールマガジン)|ねじJAPAN

No.272|ねじJAPANニュース(メールマガジン)

このページでは、メールマガジン「ねじJAPANニュース」の過去記事を一部抜粋して紹介しています。掲載されている情報は配信当時のものです。

[ねじの学び舎]遅れ破壊

みなさん、こんにちは!
カフェラテ、キャラメルラテ、カフェモカ、カプチーノ。
こられのコーヒーメニューをマクドナルドが新しく展開するようです。
カフェのコーヒーと言えばスターバックスやターリーズが有名です。
さて、どこまで人気を集めるのでしょうか?
というわけで、今回もねじJAPANニュースをよろしくお願いします!
★GLOBIS.JP 「マックカフェのリベンジ!3度目の正直なるか」
└→http://www.globis.jp/1112-1

ねじの学び舎

質問:遅れ破壊

材質SUS410Pタイトビスを使用して
溶融亜鉛板を樹脂に締め付けていました。
製品を生産して約2年経過していままで問題なかったのですが、今回客先納入品でビス破断は発見されました。
亜鉛メッキ板とビスの間に水滴が侵入していました。
遅れ破壊現象と思いますがビスが破断するメカニズムが解りません。
メーカで解析結果を持っておられたら教えて下さい。
またいままで発生しなかったのはなぜでしょうか不思議です。

回答

SUS410タッピンねじの破壊
結論からいうと隙間腐食による応力腐食割れ(SCC)でしょう。
SUS410もステンレス鋼ではありますが
不動態皮膜(クロムの酸化皮膜)が
生成されて耐食性を得ることができるのですが,
ねじ締結体のおかれた環境によっては
(湿度が高い)毛細現象によって
狭い隙間に水が浸入して隙間の中で復水(結露)します。
この結露した水は周辺の大気から遮断されるため,
酸素濃度が均一でなくなります。
このような現象が起きると不導体被膜が溶けて(電解して),
SUS410(主成分は鉄)がステンレスの機能を失ってしまいます。
タッピンねじは使われているとき,
ねじの谷に引張り応力が集中していますから,
隙間で復水した中にあるNOx,SOx,Clが酸となって
ねじの谷へのアタックを加速します。
小さな腐食孔があけば急速に腐食の進行と,水素の侵入が起きます。
これがSCCであり,遅れ破壊もこの一形態です。
今まで発生になかったのは,運が良かったものとおもいます。
再発する可能性がありますから,塗装など隙間を塞いでください。
参考文献をご紹介しましょうか。

回答

松本様回答ありがとうございます。
松本様の書かれた
ねじ締結”新”常識のうその本は購入してもっております。
違う文献ありましたらお教え願います。
又材質を変更考えていますが 鉄 + クロメート処理品は
SUSXM7のどちらかまよっております。
出来ればアドバイス願います。

回答

文献
1.藤井哲雄「金属の腐食/事例と対策」工業調査会,2002.
2.H.Mayer「ボルトはなぜ壊れる」日経メカニカル,日経BP,1997,9,26.

編集後記

キンドル  -  出版業界に革命をもたらすか?

★米アマゾン・ドット・コムで最も売れた商品
米アマゾン・ドット・コムが好調です。
2009年7~9月期決算、純利益が前年同期比69%増の1億9900万ドル。
売上高は同28%増の54億4900万ドル。(1)
その好調業績の中で、金額・数量ともに最も売れた商品は・・・?
ベストセラーの本ではなく、「キンドル」というアマゾンが開発販売した電子書籍端末商品です。(1)
販売台数は公開されていませんが、アメリカでの人気ぶりがうかがえます。

★1500冊の本を持ち歩くことができる
キンドルのサイズは、ペーパーバックほどで重さはわずか300グラムほど。
端末を購入後、書籍データをダウンロード購入すれば
画面上で本を読むことができます。
何十冊の本を持ち歩くことはできませんが、キンドルなら何十冊、いや、開発者の説明では
2GBメモリーに1500冊のデータを持ち歩けると説明しています。(1)
さらに、文字の大きさも調整できます。
これも電子書籍特有の便利な機能といえるでしょう。

★日本に上陸。普及の見通しは?
先月、キンドルが日本に上陸しました。
価格は259ドル。日本円で約23,000円
現在、日本語には未対応ですが、日本語対応の開発、出版社へ書籍データの提供について
アプローチしていることを担当者が認めています。(1)
キンドルで日本語の本を読める日も近いでしょう。
では、日本でも普及するのでしょうか?
キンドルが販売されているアメリカでヒットした要素の一つは、その割安感です。
端末購入にある程度の費用を支払っても、書籍データの価格が本の価格よりも安いため、長期視点で見ると、端末費用の元が取れるのです。
本を定期的に購入するユーザーにとって、端末の便利さ、そしてこの割安感は魅力的に見えるもの納得です。
日本でも店頭販売の本の値段と比較して
ある程度の割安感を出すことができれば、普及への強い追い風になると思います。
※日本では、再販売価格維持制度という制度があるため、書籍の販売価格を自由に変えることができません。
しかし、キンドルの担当者は、電子書籍はこの制度の適用外であるという認識を示しています。(1)

★出版業界に革命をもたらすか?
このキンドルが普及すれば、音楽ダウンロードの普及がCD販売に影響を及ぼしたように、書籍販売店には影響が出てくることでしょう。
さらに、電子書籍になれば、今まで本を出版するために必要だった
製本・配送などのコストが不要になります。
今まで出版されなかったニッチ市場向けの本が
電子書籍で販売されるかもしれません。
特定の分野の論文を電子書籍で
販売することが可能になると予測する専門家も存在します。
ソニーも「リーダー」という商品を開発し販売しています。
成長が期待される電子書籍市場。
通勤電車の中でキンドルで新聞を読んでいるサラーリマン。
新聞を折りたたみながら読む姿が少なくなる時代は
すぐそこに迫っているかもしれません。

参考
(1)日経ビジネスOnline
「電子書籍「キンドル」上陸の衝撃アマゾンは出版を再興できるか」
└→http://business.nikkeibp.co.jp/article/manage/20091023/207924/

2009/11/09配信